ドラゴン桜 三田紀房 講談社 全21巻
一種の社会現象にまでなった漫画。
2005年に
ドラマ化された。ドラマは、毎年のように再放送されている。
落ちこぼれの通う龍山高校は、経営状況が悪化し、ついに倒産の危機にさらされる。債務問題の処理のために高校へ派遣された、元暴走族の弁護士、桜木健二は、ひとつ自分の実績を残すため、龍山高校の超進学校化を提案する。その内容とは、3年生に特別進学クラスを設置し、年度末に1人東大合格者を出すことであった。水野直美と矢島勇介の2人がクラスに集い、数学・理科・英語・国語の特別講師を外部から迎え、東大合格へ向けての挑戦が始まる。3月の合格発表で2人の生徒が見せるのは、笑顔か、涙か…
この漫画から教わることは本当に多い。なぜかというと、本作は教育界、ひいては一般社会の常識に対して、疑いの目を向ける気概に満ちているからである。そのようなスタンスから放たれる言葉の数々には、なるほどと納得させられることが多い。
作者は、主人公の桜木や特別講師達に、様々な言葉を託し、日本の教育の問題点へと次々に切り込んでいく。彼らの言葉は、学校の先生からは決して聞くことのできないものである。たとえ言いたくても、学校の先生は、立場上そんなことは言えないかもしれない。そのような意味では、本作は、学校では得られないような社会の見方や勉強に対する考え方を補完するという役割を担っているとも考えられる。
だからといって、登場人物は突拍子もないことを言っているわけではない。確かに、本作では随所で型の重要性を指摘するが、型にはめる教育、詰め込み教育にも大切な面がある。大事なのはバランスである。一見過激にも見える教育法の裏には、生徒を伸ばすという、誰もが望む目標がある。読めば教育に対する見方が広がる。
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