ヤンキー君とメガネちゃん 吉河美希 講談社 既刊19巻
20巻の大台を直前に控えた19巻。予想した通り、表紙は八王子雫だった。
様々なきっかけが積み重なり、品川の中にも徐々に殿様大学合格への熱意が芽生えていくのが、19巻の柱。受験という大枠の中で話が進みつつも、新たなイケメンキャラ、青森密が出現し、足立の過去の心情が明かされるなど、中身は濃い。
結局のところ、八王子の問題は解決するまでもなく、今後も尾を引いていきそうだ。読者から見れば、悲恋になりそうなのは目に見えているのに、本人は品川との大学生活を夢見て、自分の勉強に、他人の指導にと励むという姿は辛い。そんな中、恋愛なんてどこ吹く風という足立のキャラクターは貴重。物語が恋愛の泥沼にはまっていくのを、辛うじて阻止している。
ちなみに、最も合格が絶望的だった足立は、殿様大学のリーダー推薦枠によって、皆より一足先に殿様大学合格を決める。これは、組織のリーダーを経験したことがあり、かつユニークな発想力を持った人材を集めるための制度だ。紋白高校の不良枠といい、この物語の学校は、一見はちゃめちゃな制度を取り入れているように見えつつ、実は時代の最先端を行く、魅力的な入試を行っているような気がしてしまう。
ふと考えてしまった。彼らが大学に合格したところで、大学編を『ヤングマガジン』で連載、社会人になってからは『モーニング』へ移籍して続編… なんてことを。
◎過去の記事◎
『ヤンキー君とメガネちゃん(1)~(4)』『ヤンキー君とメガネちゃん(5)~(8)』『ヤンキー君とメガネちゃん(9)~(12)』『ヤンキー君とメガネちゃん(13)~(16)』『ヤンキー君とメガネちゃん(17)(18)』PR