ヤンデレ彼女 忍 スクウェア・エニックス 既刊4巻
真面目で普通な高校生、田中学と、名を聞けば皆が震え上がるヤンキー高校生、竜崎レイナとの、時に面白おかしく、時に微笑ましい恋愛模様を描く漫画の4冊目。
今回も、季節感バラバラな単行本。海に行く話があれば、伝説の桜の木を探す話まで。暗黙の了解の下、高校2年生が繰り返されるのもあり、何だか変な感じである。田中の「今年こそは」海に行こうという言い方に、しっかりとレイナが突っ込みを入れている。
1巻の時と比べて、コマ割りが少しずつ変化している。4コマの形式は徐々に少なくなり、普通のコマや見開きに近いものも出てきている。常に4コマが成立している作品とは言えないので、ここは柔軟に、4コマを徐々に無くしていくのも良いのではないかと思う。
途中、4回にもわたって、黒星高校との野球編が描かれる。その後、田中とレイナの駆け引きが描かれる話に移ると、ほっとした。やはり、この作品の原点は、2人のやり取りから生まれる、滑稽でハートウォーミングなストーリーなのではないかと、改めて実感。レイナの取り巻きが2人をどのように見ているのかがわかる第31話など、ちょっとしたトラブルから生まれるギャグ展開は、笑いがこみ上げてくる内容だ。ばっちり決めるところは決める田中も、ナイスキャラだ。
ちなみに、新たな恋の始まりを予感させる第32話「恋バナ、それはクッキーをお供に」の調理実習の様子を見て、違和感を持った読者も少なくないと思う。調理実習に男子の姿が見えないのだ。実は、高校で家庭科が男女共修になったのは1994年のこと。それ以後に高校に入学した世代は、男女関係なく調理実習の経験があるはず。そうなると作者の年齢は…などと、些末なことを考えてしまった。
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