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ローゼンメイデン PEACH-PIT 集英社 既刊6巻



"まいた"世界に訪れた束の間の休息は過ぎ去り、物語が動き始める。ついに学校へ通い始めるジュン、ジュンに興味を持つ少年、鳥海、謎の転校生としてジュンの学校にやってきた、水銀燈のマスターである柿崎めぐ。徐々に"まいた"世界の人間の歩みが重なる。一方、薔薇乙女達の間にも、様々な思いが交錯する。物語の進展を予感させる第6巻。

"まいた"世界の物語が本格化したのが第5巻であったが、大きな進展はなかった。しかし、第6巻では徐々に歯車が動き出す。特に、これまでの複線が回収されつつあるという点で、重要な巻になった。蒼星石がかつて「9秒前の白」で見たものとは? ジュン、水銀燈、柿崎めぐの三者の関係とは? 新たな謎が生まれる。そしてもちろん、すべての黒幕とも言える雪華綺晶の動向も気になるところ。

また、引きこもりから脱出し、学校へ通うジュンや、父親の影に儚い思いを寄せるめぐの描写も非常に充実しているのが、6巻の特徴だ。元から、引きこもりや難病といった課題を丁寧に取り上げてきた本作だけに、期待を裏切らない。ジュンが登校する途中の様子や、Extra Taleとして描かれる水銀燈とめぐのやり取りは、繊細でいて迫力のある描写だった。

次回でヤングジャンプ移籍後の単行本の数が、ドールの数と同じ7に達する。バーズ時代から数えると10年近くにもなる長期連載であるが、まだまだ謎が謎を呼ぶ状態。


◇過去の記事◇
『ローゼンメイデン (1)(2)(3)』
『ローゼンメイデン (4)』
『ローゼンメイデン (5)』
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