あまんちゅ! 天野こずえ マッグガーデン 既刊2巻
大木双葉は、東京から伊豆に越してきた、内気な高校1年生。入学式前にふと訪れた海辺で、海の広さに魅せられる。そして、入学式の日、同級生の小日向光(通称「ぴかり」)に声をかけられたことをきっかけに、ダイビング部へあれよあれよという間に仮入部することになる。しかし、双葉(「てこ」のあだ名を付けられる)は、ダイビングの魅力とぴかりの明るさに惹かれ、ダイビング部へ入部することになる。ダイビング部の顧問の火鳥真斗や、双子の姉弟である、「姉さん」先輩と「弟くん」先輩といった個性豊かな仲間に囲まれ、てこは徐々に自分の居場所を見つけていく。
海という大自然の魅力を存分に伝える作品。ダイビング初心者であるてこが水と格闘する過程も丁寧に描かれている。しかし、
『浪漫倶楽部』や
『ARIA』といった作者の他作品と比べると、物語の舞台は不思議なことが一切起こりえない、あくまでとことん日常的な世界である。そんな中で、他人のちょっとした気遣いや優しさ、心情の変化に焦点を絞りつつ、物語が紡がれていく。その分、登場人物達には、『ARIA』の主人公、水無灯里のような超人的な明るさやコミュニケーション能力があるわけでもなければ、『浪漫倶楽部』の主人公達のような底なしの優しさが湧き出てくるわけでもない。あくまで等身大の人物の繊細な感情を描くという、天野こずえ作品の中では比較的珍しいタイプの作品になっている。
一方、コミカルな描写も挟んだ展開は、本作の大切な要素。メリハリの効いたコマが、全体に花を添える。
物語はまだまだ始まったばかり。主人公2人の青春に、これからどんな思い出が刻まれていくのか。
■追記■
最近、更新が鈍っています。
頻繁に訪問してくださっている方々、ごめんなさい。
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