自殺島 森恒二 白泉社 既刊1巻
もし自殺者が増え、日本政府が彼らを抱えきれなくなったら…
自殺常習犯を日本国から追放し、義務を課さない代わりに権利も与えないという政策を、政府は採用した。好きなように暮らしてくれと言わんばかりに、孤島に送られる彼ら。その島の通称名は、「自殺島」。
ルールも義務もない社会では、何もかもが自由である。当然、生きることも死ぬことも。
同じ船で送られてきた一団は、その集団で生活することにする。しかし、生活は思うほど楽ではない。水を探し、狩猟採集生活を行い、寝床を確保する。今日明日の生活を精いっぱい生きていく必要がある。その中には脱落者も出てくる。希望の持てない人々は、静かに命を絶っていく。また、残った者は死者を埋葬しながら日々を生きる。
2009年9月6日朝日新聞書評のコミックガイドでも取り上げられた作品。
何もかも―死ぬことも生きることも―が自由になったら、どうなるのだろうか。作者は、主人公セイに対し、生きるという選択肢を与えた。主人公は、常に死と隣り合わせの中で、逆に生への希望を得ていく。
島では、仲間割れや強奪も起こる。無法地帯に生きる極限状態に置かれた人々は、人間のエゴや弱さも露呈させる。その中で、改めて問いかけられる、生きるということの意義とは。
この漫画で展開させるのは、様々なものを訴えかけてくる思考実験である。
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