さよなら絶望先生 久米田康治 講談社 既刊23巻
超ネガティブ教師の糸色望と、彼が担任する2のへ組の生徒による一話完結型ギャグ漫画。単行本は23冊目を迎えた。
久々に笑ってしまう台詞に出会えたのが、23巻。アニメ産業に群がる独身貴族を風刺した「ハルヒが買えないならけいおんを買えばいいじゃない」(第二百二十六話)には、思わず大笑いしてしまった。
世の中の変なところ、人間の困ったところに次々とメスを入れていく鋭さはまだまだ健在。切られた尻尾の方が優秀なのではという話など、社会に向けて鋭く切り込んでいく。最近の傾向として気になるのが、ちょっと難しい用語の多用である。今回で言えば、ミランダ警告、カプグラ症状、ゴーストフィッシング… 難しい言葉を持ち込んでインテリにしかわからないという雰囲気を出す作品として、森見登美彦の『夜は短し歩けよ乙女』を批判した話が過去にあったのだが、同じ傾向に自ら陥ってはいないかと思ってしまう。諸々のことから逃れた者が集う地である、避暑地ならぬ「避諸地」、本来とは逆の順序で物事が進むことを風刺した「ポロロッカ現象」など、数々の名言を生んできた本作のことを考えると、ちょっと残念な傾向である。
一方、最近は徹底的に時事問題を扱うというわけではない分、ネタの風化は少なくなったように思う。4年前は非常に頻繁に出てきたサッカー日本代表ネタもほとんどなかった。すなわち、良くも悪くも、言葉やネタが時間や場所といった文脈を超越するようになってきていると言えるのではないだろうか。
読者投稿欄には、アニメ第4期を待ち焦がれる声が既に挙がっている。アニメ化の実現に向け、重要な時期に差しかかっている。
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