神のみぞ知るセカイ 若木民喜 小学館 既刊20巻
今年、本作は5冊の単行本を世に送り出した。17巻と18巻では2冊同時刊行を実現するなど、作者は精力的な執筆活動を続けてきた。メインは女神探しである。かつて攻略したヒロイン達の傍に潜む、旧地獄の勢力、ヴィンテージ。その手からヒロインを守るべく、桂馬の攻略が再開される。
合計6人の女神探しは、いよいよ大詰めを迎える。これまでは鳴りを潜めていた旧地獄の勢力も本格的に動き出し、エルシィ、ハクア、ノーラとの戦いも熾烈を極める。桂馬は、月夜、栞、結の攻略を急ぎ、女神の助けを得ようと奮闘する。かつての攻略ヒロインが出てきて、懐かしい気持ちになった。
女神探しの終盤は、歩、ちひろ、桂馬の駆け引きがメイン。これまで攻略対象に過ぎなかったヒロインが、これでもかと自分の役割に抗う姿勢を貫く。あくまでもゲームの理論を貫徹し、旧地獄の悪魔の進出を食い止めることを最優先してきた桂馬だったが、現実の人間と関わることで、心を動かされた。ちひろを本気にさせてしまっていたことに気付き、リアルの難しさを知ると同時に、ちひろを巻き込んでしまったことに対して、後悔してもしきれない思いに駆られる。
6人の女神が結集し、旧地獄の勢力を一掃することができ、女神探しの物語は終結を迎える。まるで作品の終幕のような場面であったが、旧地獄の勢力は、まだ蔓延っていた。完全に征伐されたかのように見えた敵の親玉は、まだ生き残っているようだ。女神に導かれ、桂馬は10年前に戻る。物語はここにて、生きる気力を失くした少女を救うという新章に突入する。もしかしたら、これが最終章かと思わせるような展開に注目したい。
☆過去の記事☆
『神のみぞ知るセカイ(1)~(6)』 『神のみぞ知るセカイ(7)』『神のみぞ知るセカイ(8)』『神のみぞ知るセカイ(9)』『神のみぞ知るセカイ(10)』『神のみぞ知るセカイ(11)~(15)』PR