アニメあたしンち 情熱の赤い母、そして是が非~♪ 原作:けらえいこ メディアファクトリー
アニメの「あたしンち」がコミックに。アニメオリジナルストーリーも含み、「まさにあたしんちと同じ!」と言いたくなるような、日常生活に潜む笑いを提供。
日常生活の思わず「あるある」と言ってしまうような出来事に焦点を当て、笑いへと昇華する漫画の中でも、一家のお母さんを主人公にした作品としてお馴染み。主婦の日常生活、ついイラっとしてしまったり、やってられないなと思ったりしてしまうこともあろう。そんな生活も笑ってしまおうというタフな姿勢が、本作最大の売り。だからこそ、読後は非常に爽やかで、楽しい気分になる。今日も今日とて、家族のために働き、時に失敗し、笑って誤魔化したり、皆から睨まれたりするお母さん。それでも、家族のメンバーが互いを本気で責め合ったりすることはない。絶妙な適当さ加減で成り立っているタチバナ家は、安心して見ていられて、羨ましくもある。
たまには、娘のみかん、息子のユズヒコも、話の中心になる。普段は怖いお母さんに甘えてみたくなって、風邪を引いたと言ってみるみかん。自分の髪形をめぐって、床屋と無言のバトルを繰り広げるユズヒコ。また、普段は存在感が薄くとも、晩ご飯が見込めないと踏むや否や、席から立ち上がり出前を注文する、寛容さと手際の良さを見せるお父さんも、いい味を出している。
原作者の手を離れ、アニメオリジナルの世界でも存分に活躍するタチバナ家の面々を見ていると、本作が素晴らしいアニメスタッフに支えられていたのだと感じる。
この本は、アニメの作画を採用しているけれども、いわゆるフィルムコミックとは異なり、紙質は普通の漫画単行本と同じで、白黒のページが大部分。それゆえに、200ページ位のボリュームに対して、399円というかつての少年漫画、少女漫画並みの価格で楽しめる。