キミノクロノス 結賀さとる 原案協力:MICROSPHERE メディアファクトリー 既刊1巻
ぼっち体質の高校生、相楽早壽は、"SOWN"という武器が使用される事件の捜査を仕事としている。"SOWN"とは、人間のトラウマに巣食う怪物。一見少年のような外見にして、かなりの年月を生きていると思われる相方のレオンと共に、凶悪事件の解決に挑む。
名作『E'S』、『ラズ・メリディアン』の最終巻が発売されてから、2年の月日が流れ、その間に新作の発表もあったが、諸事情により打ち切りとなり、ずっと影を潜めていた結賀さとるだったが、今年の春に新作が連載開始され、無事単行本の刊行となった。
作画の雰囲気が少し変化したが、バトルの描写や、たまに出てくるコミカルなバージョンの登場人物の描き方などは、相変わらずの素晴らしさで良かったと思う。
物語は、おおよそ"SOWN"が関わる事件を解決し、"SOWN"の持つ種子を集めるといったところか。早壽の通う学校には、"SOWN"を操る生徒が多くいて、徐々にその人達との交流も描かれるところだろう。今のところは、残念イケメンと言うべき祠堂菜摘だけだが、彼とどう友情を育むのかも注目すべき点だ。
"SOWN"の最大の特徴は、人間の心に住みつくという点であろう。心の弱った時、心の傷ついた時を狙って、"SOWN"は人に襲い掛かってくる。1巻ではあまり大きく取り上げられることはなかったが、心にあるトラウマをいかに描ききるかが、本作の魅力を決定付ける要因となるだろう。新キャラが登場したところで幕切れとなり、2巻へ続く展開で、まだまだこれからが作品の本編だと期待しながら、2巻の発売を待つ。